四季「魔法をすてたマジョリン」ぽんぴらぱーん
マジョリン | 関根麻帆 |
ブツクサス | はにべあゆみ |
ニラミンコ | 味方隆司 |
ダビッド | 鎌滝健太 |
オカシラス | 神保幸由 |
プレッツェル婆さん | 西山愛由美 |
ステファン | 和田翔子 |
タツロット | 那俄性 哲 |
花嫁 | 佐藤朋子 |
昨年の全国公演、そして年末のテレビ放映(先月も再放送された)で、一躍人気作品になった四季のファミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」が東京で再演。自分もテレビ放送を観てファンになったくちだ。
四季のファミリーミュージカルには「エルコスの祈り」「人間になりたがった猫」そして現在全国公演中の「ジョン万次郎の夢」など秀作が多いが、このマジョリンも実に完成度の高いいい作品だ。
村人たちと、悪い魔女たちの戦いの中で子供の魔女・マジョリンが成長を遂げるという話だが、その悪い魔女たちの力の源泉は村人たちのねたみや恨みといった心の暗黒面という設定になっており、単純な勧善懲悪の構図になっていない点が興味深い。クライマックスは魔女裁判にかけられ、処刑されそうになったマジョリンを助けにやってきた村人と、魔女たちとのハルマゲドンが描かれるが、村人たちは魔女に力を与えないように、互いを信頼し、思いやりの心を保とうとする。この戦いは、心の中の葛藤そのものだ。魔女は、人々の心の中に住んでいるのである。
その最終戦争の中、村人は一時魔女達の力の前に、文字通りステージから追い落とされてしまう。そこで観客に「私たちに力を!」と呼びかけ、観客がテーマ曲「心から心へ」を歌うと(実際にはほとんど歌っていないが)、その歌声に力を得た村人たちが魔女たちに打ち勝つ、という演出がある。つくば万博の「滝の劇場・三井館」に登場する「勇気の笛」を思い出させる手法だ。こういうベタな演出は基本的に大好きだ。このシーンは歌舞音曲によって悪を調伏する、という日本古来の呪術的手法を実践しているようにも見える。そして、歌の力で敵を倒す、というモチーフに「超時空要塞マクロス劇場版~愛・おぼえていますか」のクライマックスを思い出した。リン・ミンメイの歌に感動したゼントラーディー軍のブリタイ指令が「7018アドクラス艦隊よりマクロスへ。これより貴艦を援護する」と通信してくるシーンは馬鹿馬鹿しくも感動的だった。
話がそれた。この作品のおおきな魅力のひとつは音楽だ。鈴木邦彦の作曲による「心から心へ」「ありがとう」のメロディーは、終演後も、観劇後1日たっても、心地よく頭の中で繰り返される。このエントリーを書いている間も、ずっと頭には「君の~手と~ぼくの手を~」「誰かのやさしいここーろでー」状態だ。そういえば、観客に「心から心へ」の歌詞を覚えてもらうために、巨大な歌詞ボードが舞台に登場する場面があるが、あれには「ロッキー・ホラー・ショー」で教授がステップを解説するシーンを思い出した。
また話がそれそうなので役者の件について。何と言ってもこの舞台のキーマンはニラミンコ役の味方隆司だ。ハイテンションな演技で客席から老若男女を問わず笑いを取る圧倒的なパワーは健在。これぞ役者の生きる道、とばかりにがつんがつん笑わせる。ご存じの通り、ニラミンコ役は「夢から醒めた夢」のデビル役の原形だ。今のところ味方は夢から醒めた夢京都公演では夢の配達人役でひょうひょうとした演技を披露しているが、ぜひこのニラミンコの延長上にあるデビルを見たいものだ。
マジョリンは関根麻帆。ちょっと太めだけど、超ミニモニサイズの身長が萌える。何しろ萌え系アンサンブルの女王、手島梓よりちっちゃいのだ。それでいて動きにはキレがある。声は真鍋奈津実のアニメ声にはかなわないが、力強い歌い方に好感が持てる。
「マンマ・ミーア!」のペッパー役で注目していた鎌滝健太がダビッドを演じている。どこか抜け目ない雰囲気の望月龍平ダビットに比べ、こちらはだいぶ人の良さそうな、どちらかというとタツロットな雰囲気のダビットだ。歌はもうひと頑張りかな?まあこういう動揺っぽい歌い方が苦手なだけかもしれない。
花嫁は引き続き佐藤朋子。「人間になりたがった猫」のジリアンに抜擢され、次のステップに行くのかと思ったが花嫁に出戻りだ。相変わらず美人である。しかし動きが重く、歌ももう一歩だ。この人あたりがマコを演じれるようになると、四季の女優陣も層が厚くなるのだが。応援してるぞ!
今回、マジョリンにはもう一人、大徳朋子がキャスティングされている。このマジョリンもぜひ観たい。27日までの公演だが、もう一度くらい行ってしまいそうだ。
「魔法をすてたマジョリン」のホームページ
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コメント
みごとな(話し逸れながらも(笑))解説付きご感想、拝読しました!
マジョリンは関根さんだったんですねぇ。
佐藤花嫁はもう少しのようですね。いろいろ活躍して欲しいのですがね。
夢醒めでマコやっておまけにロビパフォでお姫さま役のサービス付きなんてのはどうですか?ありえませんが(^^ゞ
あ、マジョリンの話題でしたね。話が逸れました^^;
投稿: fudoh | 2006年8月 7日 (月) 23時46分
関根マジョリン、1週間限定だったんでしょうか?あのちっちゃさはある意味武器だと思うので、いろんな役にチャレンジしてほしいですね。佐藤花嫁、ほんとがんばって成長してほしいもんです。なにせ四季では貴重な美…ごにょごにょ。
佐野ファントムも見に行かねば。理想としては、来週あたり沼尾クリス復活→苫田マコ復活&花マコ降臨、という流れを期待してるんですが、期待どおりに行かないのが四季クオリティー。
投稿: ヤボオ | 2006年8月10日 (木) 01時28分