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2006年8月20日 (日)

「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」2回目

吸い寄せられるように先週に引き続きコマ劇場へ。キャストは前回と同一。よく出来た舞台というものは何度観ても楽しいものだ。

「リボンの騎士」というと、テレビは断片的にしか観た記憶がなく、原作マンガは2回の連載(1回目:「少女クラブ」昭和28年から3年間、2回目:「なかよし」昭和38年から4年間)のうち、2回目のほうを、単行本で読んだだけだ。

その単行本を引っ張り出してみると、奥付が1989年とある。まだ大学生のときに買ったものだ。天才・手塚治虫が存分に力をふるった冒険活劇は今読み返してみても血湧き肉躍る面白さだ。登場人物もエピソードも多いこの物語を、今回の舞台ではキレイにまとめ上げている。

基本的なエピソードはほぼ原作マンガの前半部分から取り出し、後半部分は大胆にカットした。しかし後半はやや読者の人気に押されて引き延ばした感もあり、かえってすっきりしたストーリーになった。

この脚本の見事さは、原作でも何回か物語のキーポイントで登場する、主人公・サファイアの持つ「女の魂と男の魂」に焦点を定め、これを「魂の物語」とくくった点である。これによって構成がより明確になり、観ていて安心感のある(この舞台は何をしたいのか?が不明確なのは、それが狙いでない限り居心地が悪い)舞台になったといえる。

興味深いのは、マンガやテレビで大人気だったキャラクター、天使のチンクが登場していない点である。

いたずら好きの天使チンクは、サファイアが2つの心(原作では魂ではなく心という表現)を持って生まれる原因を作ってしまい、罰としてサファイアから男の心を抜き出してくるよう命じられて下界に降り、サファイアを見守り続ける。外見のかわいらしさもあり、アイドルにとっては「おいしい役どころ」だろう。

だがあえてこの舞台ではそのチンクを封印した。ではチンクの役割はどこにいったのか。冒頭の天上界のシーンでは、天使チンクではなく、モーニング娘。+美勇伝(+松浦亜弥)が演じる「まだ生まれる前の存在たち」の軽はずみな集団行動(主犯は吉澤ひとみ)によってサファイアが2つの魂を持ってしまう。これを知り、箙かおる演じる神様がろうろうと歌い上げる歌の中に、こんな歌詞がある。

♪この子が 女の子になり 幸せをつかむ その日まで ともに地上をさまようがいい!

そう言って神様はそこにいた存在すべてに魂を与え、人間界に送り出す。つまり、この舞台の登場人物すべてが、サファイアを見守る存在となっているのである。チンクというおいしい役を無視したのではなく、そのおいしさを最大限に増幅した結果がこの構成なのだ。それによって「リボンの騎士」全編を「魂の物語」として再構築する。その大胆さには舌を巻くしかない。

まあ悪いのは吉澤なので、それ以外はとばっちり、と言えなくもないが…。ちなみに、主犯の吉澤は悪役に、一応吉澤をいさめた松浦は王子になるので、罪の軽重も考慮されてはいるようだ。

Ribon2

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» 『リボンの騎士/ザ・ミュージカル』 [【徒然なるままに・・・】]
モーニング娘。&美勇伝出演のミュージカルを観てきました。原作はもちろん手塚治虫の漫画です。  しかも手塚治虫、それに『リボンの騎士』とは縁の深い宝塚歌劇団の木村信司の脚本・演出に、同じく宝塚歌劇団の理事で顧問の植田紳爾が監修としてつき、更にスーパーバイザーとして手塚眞が参加という布陣です。 出演は他に、日替わりの特別出演という形で安倍なつみ、松浦亜弥、辻希美の3人。そして宝塚歌劇団・専科の箙かおるにマルシアが脇を固めています。今日の特別出演は安倍なつみでした。 最初のうちは場違いなところへ... [続きを読む]

受信: 2006年8月25日 (金) 22時35分

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