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2006年7月16日 (日)

樋口真嗣「日本沈没」リメイク

「平成ガメラシリーズの樋口」「エヴァンゲリオンの樋口」「ローレライの樋口」と、枕詞に事欠かない当代随一の映像クリエーター、樋口真嗣が「日本沈没」のリメイクにチャレンジした。もっとも自分にとっては「さくや妖怪伝の樋口」であり、「ミニモニ・じゃ・ムービーの樋口」であるわけだが。

1973年版では、「日本沈没」という衝撃的な発想こそが映画の主役であり、そこに描かれる人間模様はあくまで脇役に過ぎなかった。だが今回は「日本沈没」をモチーフにして、そこで繰り広げられる人間ドラマを中心に描こうとしている。

その意図は、おおむね達成できていたように思う。クライマックスでは、満員の映画館の中、女性を中心に多くの人が涙をぬぐっていた。それらの人々には、「ドラマが主、『沈没』は従」という構図が十分理解されていたのだと思う。

実は個人的には、そのドラマの部分があまり面白くなかった。登場人物の関係はややステレオタイプに過ぎているし、未熟ながらも自分の芸風を貫こうとする主演の2人(草なぎ剛、柴咲コウ)はともかく、ベテラン勢の演技までもがどうも上滑りしているように感じられたからだ。

そして、自然災害を描いたシーンが想像以上にいい出来だった。CGというよりも、実写映像をデジタル処理して災害映像にするという手法を多用しているが、これが見事にリアリティーを発揮していた。もちろん、実写映像を使ったからリアリティーが出る、という単純なものではない。今回は、まるでかくし味のように、そこに、古き良き時代の「特撮」技術を盛り込むことで映像に深みを持たせ、リアリティーをぐっと引き立てることに成功していた。

そのせいもあって、どうも自分としては「『沈没』が主、ドラマは従」という見方しかできなかった。むしろ旧作のほうが、怪獣映画で見慣れた災害シーンより、藤岡弘、いしだあゆみ、丹波哲郎、二谷英明といった濃いメンバーの暑苦しい演技のほうが印象的だったため、ドラマを主に見ていたのである。

もっと思い切って、人間ドラマの中に「沈没」を飲み込んでしまうような構造にしてほしかった。ジェームス・キャメロンが、スペクタクルシーン満載の「タイタニック」「トゥルーライズ」をそれぞれメロドラマ、ホームドラマとして作ってしまったように。

ただ何度も言うように、それは個人的な感想で、映画の出来自体は決して悪いものではない。カメオ出演陣も丹波哲郎から池田成志に至るまで、実に豪華かつユニーク、そしてそれぞれツボを押さえた起用をしているので、それを探すだけでも一見の価値ありだ。

ところで、筒井康隆のパロディー短編小説を原作にした映画「日本以外全部沈没」の公開ももう間近だ。そうとういい加減な作品になるようだが、こちらも楽しみである。

Chinbotsu

「日本沈没」公式WEBサイト

http://www.nc06.jp/

「日本以外全部沈没」公式WEBサイト

http://www.all-chinbotsu.com/

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