四季「アイーダ」めぐ王女様降臨
アイーダ | 濱田めぐみ |
アムネリス | 五東由衣 |
ラダメス | 福井晶一 |
メレブ | 有賀光一 |
ゾーザー | 大塚 俊 |
アモナスロ | 石原義文 |
ファラオ | 勅使瓦武志 |
濱田めぐみは、北島マヤだ。
96年に「美女と野獣」のベル役としてすい星のごとく登場した濱田めぐみを観たとき、そう感じた記憶がある。当時の自分といえば堀内敬子にメロメロ(死語)だったわけで、なーんだ今日は敬子ちゃんじゃないのか、と半ばがっかりしながら始まった舞台。しかし驚いた。敬子ベルは「ベルを演じている堀内敬子」だったのに対し、そこには「濱田めぐみ」の存在を全く感じさせない。アニメーションのベルが、そのまま飛び出てきたような、純度120%のベルだった。
その後、四季で数々の主役を演じさらにその女優力に磨きをかけてきた濱田めぐみが演じる、アイーダ。心を揺さぶる抜群の歌唱力、寸分の狂いもない演技力、そのトータルとしての表現力、そして他の追随を許さない圧倒的な存在感。
そうです、王女様。
それはまさしく王女の姿だ。「ふたりの王女」で北島マヤも姫川亜弓も王女のオーラを身にまとうのに悪戦苦闘し、月影先生にも強烈なダメ出しを受けた。濱田がそのオーラを手に入れるまで、どれほどの苦労があったかは分からない。しかし濱田の王女ぶりは、アルディスよりもオリゲルドよりも、さらに完成度の高い風格を感じさせる。
ミュージカル「アイーダ」のテーマはベタな「愛」だが、中心となるモチーフは「王女」である。王女の死と、王女の誕生を描いた作品である。そのモチーフは、濱田が演じることでより明確になる。
だから、「迷いつつ」も「星のさだめ」も大いに感動したのは言うまでもないが、今回最も心に響いたのが「神が愛するヌビア」だった。捕らわれのヌビアの民ひとりひとりの手をにぎり、歌いかけ、励まし、ひとつの方向に導いていく。それが極めて説得力のあるシーンになっていた。
もはや神がかりの域に達している濱田のアイーダは、現在のミュージカル界のひとつの頂点だ。絶対に見逃してはいけない。噂の東京公演もいつかは実現するだろうが、これを見るためだけに福岡まで足を伸ばす価値は十分にある。そういう自分はもう次の福岡行きに意欲十分だ。
さてこの日、ラダメス将軍を演じたのは福井昌一。阿久津陽一郎と比べると、実にマジメで、一途なラダメスである。阿久津ラダメスだと、これまでちゃらちゃら生きてきた無責任男が、王女アイーダに出会って真面目になっていく、という感じだったのに対し、福井ラダメスは真面目一本で生きてきたカタブツが、悪女アイーダに出会って社会人デビューならぬ将軍デビューしちゃったぜ、という雰囲気になる。これはこれで面白い。
アムネリスは五東由衣。丸顔のアムネリスってどうなのよ、と思ったが、なんだかかわいらしい、どことなく憎めない感じのアムネリスだった。しかし王女として目覚めると、そのかわいらしさを潔く捨てる。このあたりの演技はさすがだった。歌い方が素直なので、冒頭の「時は古代エジプトの~」はちょっと迫力不足だったが、これは実力の問題というより個性の問題なので仕方がない。
3人とも歌唱力があるので、2幕の最初、「どうしたらいい」は聞いていて本当に心地よかった。
ついでに言うと、有賀光一のメレブは絶好調。抜け目なさも出てきて、客席からがんがん笑いを取っていた。
ところでアイーダという作品は、最初はあまり面白いとも思えなかったが、曲がいいからか、観るたびにだんだんはまりこんできた。そのあたりは「エビータ」の印象に少し近いかもしれない。タイトルも似てる。関係ねえか。
終演後、キャナルシティ内にあるホテルグランドハイアットの1階ラウンジで、「アイーダオリジナルデザート」を食べる(25日で終わりだったようだ)。
「アイーダ」のホームページ
http://www.shiki.gr.jp/applause/aida/cast.html
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コメント
福岡おつかれさまでした。というか、読むとやっぱり羨ましい…。
私が大阪で観た時も濱田・福井コンビでした。そりゃもう良くて、数年経ちましたがいまだに脳裏に残ってます。
有賀メレブは未見なので気になります。メレブって笑いを取るキャラでしたっけ?(笑)最後のシーンも?(爆)
早く東京来い来い!と思ってるのですが、いざ来た時に濱田アイーダじゃなかったりするとかなりへこむ気がします。と言いつつも、福岡まで飛ぶとなると非常に悩む私です。
投稿: fudoh | 2006年6月27日 (火) 03時31分
福岡から戻り、すぐに京都スクランブル体制を取っていたのですが、静岡とは!日曜の夜公演じゃちょっと行けないす。
京都・大阪に行く日は来るんでしょうか??
投稿: ヤボオ | 2006年6月27日 (火) 23時16分