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2006年6月18日 (日)

映画「デスノート」前編(40秒以内にバレる)

デスノートファンの皆さん。

この映画は観てはいけない。少なくとも、観ないほうがいい。

なぜならば。

とてつもなく続きが観たくなるからだ。後編の公開は11月。そんなに待てるかよ、リューくん。

恐らく後編の公開時には前編もリバイバル上映されるだろうし、ひょっとしたらDVDも出るかもしれない。そのとき、まとめて観た方が精神的にはずっといい。

我慢ができなければ、こんなくだらないブログを読んでいないですぐ映画館に走れ!

それでもこのエントリーが読みたい人は、更に6分40秒が与えられる。

このマンガを映画化するのはさぞかし大変だっただろう。その大変な仕事を引き受けた監督は金子修介。かつて「1999年の夏休み」で日本映画界に衝撃を与え、平成ガメラシリーズのヒットで不動の人気を得た。あまり評価は高くないが、「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」も自分は気に入っている。

金子修介という人は、その映画でどんなカタルシスを観客に味あわせるか、明確なビジョンを持って作品を組み立てていくタイプだと思う。デスノートのカタルシスといえば、やはり常識を超越した知能の持ち主である月(ライト)とLとの頭脳戦に「そう来たか!」と驚くその感覚である。

しかし、今回の映画を見に来る人のほとんどは、もうその頭脳戦の展開を知っている。だとすれば、そこでカタルシスを感じてもらうことはできない。

その現実を前にして金子監督が考えたのは、原作にはない、新たな頭脳戦を盛り込むことだった。これはひとつの賭けであり、下手をすれば原作にある部分と、オリジナルの部分とが不整合を起こして作品全体が台無しになってしまう。しかしそれを見事にやってのけた。作品の世界観を理解して、というのは当然としても、原作で「ふくらますならここ以外にない」と感じていた(少なくとも自分は)ところを適確に読み取ってオリジナル部分をつなげてきた。その結果、マンガで味わった感覚をまた映画で感じることができるという、原作ファンには実に嬉しい作品に仕上がっている。

全体の構成も満足だが、とにかく役者の演技、そしてキャスティングがすばらしい。どの役も、原作の持ち味を十分に生かしつつ、そこに役者自身個性を注入して幅を広げている。

藤原竜也が演じる主人公・夜神月は、内面は強烈だがそれを表面には出さないタイプであり難しい役どころだ。それを藤原は今さら指摘するまでもない高い演技力で易々とこなしてしまった。まあ本人はLを演じたかったようだし、それを見たかったような気もするが。

対するLを演じた、若手の成長株・松山ケンイチも大健闘。こちらは月と違って個性の固まりのようなキャラクターで、それをどこまで忠実に再現できるかに注目が集まっていた。フタをあけてみれば、風貌だけでなく、その身のこなし、例えばビデオテープを渡す仕草、携帯電話の持ち方、角砂糖のつまみ方に至るまで、一挙手一投足がまがうことなくLそのものだ。全体から受ける印象も、圧倒的なにくたらしさとどうしようもないにくめなさが同居する、Lの雰囲気をよく表現している。最初にスクリーンにその姿が現れたときは、観客の多くが違和感を感じたかもしれない。しかし思い出してほしい。原作でも、最初にLがその姿を現したとき、強い違和感を感じなかっただろうか?それと同じ感覚が再現されているのだ。

脇を固める役者陣も豪華な上にそれぞれがきっちり仕事をこなしている。中でも鹿賀丈史が演じる主人公の父・夜神総一郎が出色の出来だ。総一郎の真面目さ、捜査にかける情熱、使命感、誇り、そして家族への愛情といった要素を原作以上に明確に作り上げており、なるほど総一郎とはこういう人間だったのだな、と初めて分かったような気がした。中村獅童が演じていたリュークの声も実にいい味を出していてびっくり。かなり処理をかけてはいるようだが、自分はエンドロールを見るまでてっきり名優・千葉繁(「ハイスクール!奇面組」一堂零、「うる星やつら」メガネ)だと思っていた。声といえば、戸田恵梨香はミサミサにしては声が低いような気がしたが、ビジュアルはバッチリである。細川茂樹演じるFBI捜査官も、情けない演技で決めてくれた。

前編は総じて月の独壇場であり、実はLにはあまり見せ場がない。もうすぐ終わりそうな場面で、これだとちょっとバランス悪いよな、と感じていたが、ラストシーンで原作にはないLの行動にガツンと打ちのめされた。あの演技だけで劣勢をひっくり返してしまい、両者ドローのまま後編へ続く、という形ができあがった。

後編は、どうやらよりオリジナルの割合を高めてくるようだが、前編の出来を考えればそこには全く不安がない。1日も早く、その続きを知りたくなってきた。これはまさしく「巻を置くことあたわず」のデスノートの魅力そのものではないか。それなりに期待はしていたが、これほどの出来映えになっているとは想像もしなかった。月くんに言わせれば、こんな気持ちだ。

Light

映画「デスノート」公式サイト

http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote/

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コメント

トラックバックしてしまったパンダラヴァの内藤夕夜です。
トラックバック初めてで、こっちからリンクが貼れるのかなーくらいの感じで登録してしまったのですが、なんか妙に浮いてて申し訳なく思ってます・・・
DNの感想ののっているBLOGの中で一番共感しました。
後半の感想も楽しみにしています(笑)

投稿: 夕夜 | 2006年6月18日 (日) 14時42分

こんな変人ブログでよければコメントでもトラックバックでもどしどし入れてください。

スタッフもキャストもそれぞれが存分に力を発揮していて、見ててキモチいい映画でした。原作の世界観がはっきりしていると、チームの意識を共有しやすいんですかね。やっぱり日本のコンテンツ産業において、マンガは財産だとあらためて実感であります。

投稿: ヤボオ | 2006年6月18日 (日) 20時35分

おー、早速見て来られましたか。
私は「超映画批評」の評価を見てどうしようか迷い始めてたんですが、やはり見に行くことにします。

妻が7巻で購入をやめてた単行本を11巻まで一気買いし、来月の最終巻? が待ち切れずに「どう終わったか」を知っている妻に「吐け~教えろ~」と言ってる私が後編までの数ヶ月を耐えられるかが最大の問題ですが(^^;

投稿: ほしよ | 2006年6月19日 (月) 09時38分

いや、そう言われると自信なくなったりして。私は金子監督に甘いですからねえ。どちらかというと、「超映画批評」の評価が一般的かと思います。

ただ面白いことに、私は「超映画~」がホメている冒頭の10分間がぜんぜんダメに思えて、あーこれは外したな、とがっかりしてたんですよ。もっともそのダメさ加減も、計算されたものだったことがあとで分かりましたが。

まあ、ミサミサの声に関しては、きっと同じ感想を持っていただけるものと自信を持っとります。

投稿: ヤボオ | 2006年6月19日 (月) 23時14分

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» Death Note感想 ~一番の見所はコンソメポテチ~ [パンダラヴァ。]
初日朝一に一時間前から並んで見てきた痛い子です。 (以下おそらくネタばれなし) 面白かったです! 賛否両論あるようですが、人気マンガ原作からの映画だったら、 これ以上を求めるほうが間違いですよー キャストに関しては、ライトの髪が微妙・・・? 演技はライト自身が元からわざとらしい人だから(笑)わざとらしさもわざとなのかな(ややこしい)、と思います。 Lにも違和感があるけど、それはむしろときどき妙にキモ可愛い原作どおりなかんじです(笑) ストーリーはダレることなく... [続きを読む]

受信: 2006年6月18日 (日) 14時29分

» 【盛大にネタバレる】映画「デスノート」そこそこ良作? [ひとめぼれ日記]
実は私、デスノートという作品をつい最近までまったく見ずにいました。 作品として存 [続きを読む]

受信: 2006年6月25日 (日) 04時43分

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