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2006年3月 5日 (日)

四季「ファミリーミュージカル 人間になりたがった猫」

ついにファミリーミュージカルにまで手を出したか、と言うなかれ。四季のファミリーミュージカルは実によく出来ているのである。「エルコスの祈り(旧題:エルリック・コスモスの239時間)」「魔法を捨てたマジョリン」など、覚えやすい印象的な楽曲でテーマの輪郭をくっきりと浮かび上がらせるファミリーミュージカルは、四季のもうひとつの看板レパートリーになっている。四季にとってファミリーミュージカルとは、「子供向けの作品」というより「子供にも観やすいようにアレンジされた作品」であり、味付けが異なるだけでその素材は一般作品と変わらない。こうしたクオリティーの高いファミリーミュージカルを演じ続けていること、全国津々浦々までそれを送り届けていることは、例えポーズとしても評価されていい。

その中でも1979年以来、長きにわたり上演されている人気作品が「人間になりたがった猫」だ。森英恵デザインの衣装や、火事で崩れ落ちるホテルのセットなど、舞台美術も見どころになっている。

全国公演はチケットの入手が非常に困難だが、親切な方にチケットを譲っていただき、無事に観劇できた。ありがたいことだ。

この作品のテーマは、「苦しいことも多いけど、やはり生きることはすばらしい」というシンプルな人間賛歌だ。その明快なテーマを正面から突きつけられたとき、思わず目をそむけてしまうオトナは、自分だけではないだろう。冒頭、猫のライオネルは「人間って素敵かい?」と問いかける。どきりとして、その質問にどう答えるか考えているうちに舞台は進んでいく。そして舞台上でその問いに答えが出されたとき、観ている者の中でも結論が出ているだろう。それは同じものか、それとも異なるものか。ぜひ大人にこそ観てほしい作品だ。

これもキャストを紹介しておく。

ステファヌス 松下武史
ライオネル 山崎義也
ジリアン 佐藤朋子
タドベリ 渋谷智也
トリバー 服部良子
スワガード 川原洋一郎

キャッツのジェニエニドッツを初演以来演じている服部良子が参戦した。加えて渋谷智也に川原洋一郎、松下武史と芸達者な俳優が顔をそろえている。これまた豪華なキャストではないか。

さて、一部で話題(?)の佐藤ジリアン。佐藤朋子といえば「魔法を捨てたマジョリン」で美しい花嫁を演じたのが記憶に新しい。とにかく美人、というのがこの人の最大の武器だ。そのジリアン、見た瞬間言葉を失った。CLAMPのマンガから抜け出してきたようなビジュアルで、思わず床をごろごろ転げ回りたくなるほど強烈にかわいい。あんなのが身近にいたら、スワガードならずともデレデレになるだろう。「怒った顔がまたチャーミング」というスワガードの指摘にももろ手を上げて賛成だ。しかしあの衣装にあのメイク。fudohさんも述べているように、かなりアキバ系の、ちょっとデンジャラスなムードも漂っている。子供に見せていいのか?と要らぬ心配をしてしまった。そういえばキャッツでは、キャラクターグッズとしてフィギュアも登場しているが、ぜひついでにこのジリアンもお願いしたい。いや、あの造型では今いちだから、ここはひとつ海洋堂に発注して…。

歌はだいぶ課題が残るし、動きにも軽やかさがないが、いい。可愛いから許す。これなら5月から始まる「夢から醒めた夢」でマコもありか?ぜひ観たいものだ。夢から醒めた夢といえば、「マジョリン」のニラミンコで強烈すぎる印象を残した味方隆司がデビル役として噂されているが、声質からすると渋谷デビルもありかな、と思ったです。

ところでこの作品では、いくつか詳しく語られずに終わるエピソードがある。ステファヌスはなぜ人間が嫌いになったのか。タドベリはどうして医学博士から薬の行商人に身を転じたのか。そこにも、テーマにつながる興味深いくだりが隠されているのは容易に想像できるが、それをあえて語らない。それは子供たちの創造力に委ねよう、ということなのか、家族での団らんに話題を提供するためなのか分からないが、これもファミリーミュージカル、というジャンルを成功させるためのひとつのカギなのかもしれない。

murata

背後に村田製作所本社のそびえる長岡京駅。

「人間になりたがった猫」のホームページ

http://www.shiki.gr.jp/applause/neko/index.html

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コメント

満喫されたようでよかったですね。
花嫁ジリアンフィギュアなら私も欲しいです。
海洋堂にリアルなモノをぜひお願いしましょう!

ファミリーミュージカルの中でも「人猫」は結構深いですよねぇ…。
今回のヤボオさんレポもまた的確ですねー。同感です。

投稿: fudoh | 2006年3月 6日 (月) 03時17分

いやあ、いい情報をありがとうございました。
四季にはこういうオリジナル作品を、もっと積極的に作ってほしいなあ。

なんかランペ握手と佐藤ジリアンの余韻にひたりつつ、また録画したマジョリンを見ているダメ人間であります。

投稿: ヤボオ | 2006年3月 6日 (月) 22時47分

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