四季「コーラスライン」木村花代@ヴァル
せっかく大阪に来て、1本だけ観て帰るのはもったいない。今年大阪でもう2回も観ているけど(さらにロンドンで1回観ているけど)、やはり「マンマ・ミーア!」を観ていこう。ちょうど保坂知寿も復帰したことだし。というわけでチケットも手配していた。
が、出発2日前に飛び込んできたビッグニュース。
木村花代が京都の「コーラスライン」でヴァルを演じる。
コーラスラインで花ちゃんといったらディアナ。しかし今回のディアナは確実に吉沢梨絵だろう。そう花から、いやハナから思いこんでいたので全くノーマークだった。
今回の公演に出るというだけでも驚きなのに、なんとヴァル役。あの、自分がオーディションに合格しないのはブスでペチャパイ(死語)だからだと確信し、整形して豊胸してさらに尻もでかくしてオーディションに臨むというとんでもない女、それがヴァルだ。
これは観なければ。いや、観ないでどうする。知寿姉さんすまん、きっとまた大阪来るから!と急遽予定変更。前日予約で前から10列目、再中央の席(「WHAT I DID FOR LOVE」でディアナと目が合った・ような気がする席)を確保し、大阪から京都へ。
しかし、今回のキャストはダブルキャストが多い。花ちゃんはディアナにもキャスティングされている。花ヴァルどころか、木村花代の名前がキャストボードにないかもしれないのだ。この夏のキャスト発表方式の改変がもろに響いてきた。
緊張しながら劇場へ。キャストボードを見て「ヴァル 木村花代」を確認。よし!さらにディアナは……吉沢梨絵だ! おお、(個人的に)夢の共演。実は結構気に入っている八田亜哉香もいる。きょう、京都劇場のキャストボードの前でにやにやして立ちつくしていたヘンな男を見た人がいたら、それは確実に俺だ。
そのキャストボードが、これだ。
ザック | 飯野おさみ |
ラリー | 中山大豪 |
ダン | 朱 涛 |
マギー | 上田亜希子 |
マイク | 望月龍平 |
コニー | 大口朋子 |
グレッグ | 武藤 寛 |
キャシー | 坂田加奈子 |
シーラ | 増本 藍 |
ボビー | 道口瑞之 |
ビビ | 荻原亮子 |
ジュディ | 八田亜哉香 |
リチー | 松島勇気 |
アル | 川口雄二 |
クリスティン | 石塚智子 |
ヴァル | 木村花代 |
マーク | 藤原大輔 |
ポール | 田邊真也 |
ディアナ | 吉沢梨絵 |
若手のホープをずらりとそろえたぜいたくなキャスト。ひらたく言うと、ヲタ受けするキャストである。
もっともキャリア的には若手でも、それぞれ各公演で主役や重要な役を持っている役者ばかりだ。いいのかよ?京都にこんなに集めちまって、と要らぬ心配もしたくなるほどだ。
八田亜哉香のジュディは前回も見ているが、元気があって、陽気な色気に満ちていて、でもバカで、すばらしいジュディだ。
吉沢梨絵は「夢から醒めた夢」以来すっかりファンになってしまったが、ディアナ役は初見。ディアナの、やや斜に構えた部分があまり感じられず、真っ正直なキャラクターになっていた。ここはやはり花ちゃんのほうが適役かもしれない。だが、可愛いから許す。学生時代の思い出を一気に語るシーンでは、コメディエンヌの本領発揮で最高に楽しませてくれた。
そして花ヴァルである。ディアナに比べ、ぐっとセクシーなレオタード姿で登場。まあボインとプリン(原文ママ)というほどでもないが、そこは劇中で本人も言っているように「バランス重視」の体型でなかなかそそられるものがある。
「ボインとプリン」(この訳、どうかと思うぞ浅利先生)を連呼するソロナンバーは、客を引かせてなんぼ、という場面だと思う。実際のところ、思わず引いてしまうほどのはじけっぷりではなかったが、何しろかわいい。そのかわいい表情で「ボインとプリン」だ。別の意味で、結果的に客を引かせていた。
また、ソロナンバー以外のときも、「キャッツ」のように小芝居を仕込んでおり、隣のマーク(藤原大輔)となにやら会話している様子が微笑ましかった。ピコとエンジェルがじゃれあっている隣で、ソフィとスカイも密談している。ううむ、豪華な組み合わせだ。
とにかく、ほかの役者もみな個性が光り見ていて飽きなかった。さしたるストーリーもなく、大半がそれぞれの「一人語り」で進行するこの作品は、役者の演技が平凡だと、本当につまらなくなってしまう。今回の公演は、休憩なしの2時間20分があっという間に感じられた。
考えてみれば、2005年、最初に観た舞台が「コーラスライン」だった。掉尾を飾るのも「コーラスライン」。偶然とはいえ、よく出来たオチである。実は今年初めに観たとき、この作品をあまり楽しむことができなかった。だが今回は、その中の様々な面白い要素を感じ取ることができた。それは先月、同じ一幕劇の傑作である「十二人の優しい日本人」から学んだことを始め、今年出会った多くのエンターテインメントから得たものがそうさせたのだろう。
ひとつでも多くの作品を楽しみたい、それは誰もが望むことだ。しかし、ひとつの作品からより多くの楽しさを感じ取れるようになることも大事にしていきたい。このブログを続けている目的のひとつもそこにある。年初と年末で同じ作品に触れたことで、自分自身のほんのわずかの成長を実感することができた。体重以外で成長したのは十数年ぶりだ。
また一歩、野望に近づいた。
「コーラスライン」のホームページ
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コメント
うっわーー!ヤボオさん西へ行かれてると思ったらACL前予も!!
10列目取れたんですね、メチャクチャ羨ましいです。
花ちゃんヴァルの♪ボイ~~ンとプリンッ!観ちゃいましたか…ああ…いいなあ。。
…ほんといいなあ…。。。。。。
先日「秋」の売店で見本パンフをチラッと…いや、かなりじっくりと…見ましたがやっぱり「生プリン」観たいです…。
花ちゃん今週は消えましたね。
投稿: フドウ | 2005年12月26日 (月) 22時03分
いやあ、行ってきちゃいました。
あのパンフレット、見ましたか。
記事もほとんど1月のときと同じだし、買うつもりはなかったんですが、あの稽古写真を見た瞬間、「すいません、2冊ください」と言っている自分がいました。荷物増やしてどうする!
「夢から醒めた夢」初期パンフ以来の吉沢梨絵のすっぴんが、また良いんだな。
オススメの上田マギーも良かったです!ルックスも声も素直にキレイで。
え?役者を見ずに作品を観ろと?ハイハイ……
投稿: ヤボオ | 2005年12月27日 (火) 01時01分
あけましておめでとうございます♪
また今年もこちらに足繁く通わさせていただく予定でございます。
ツウな話題楽しみにしてます。
投稿: フドウ | 2006年1月 1日 (日) 00時14分
早々にごあいさつを賜り恐縮至極です。今年もこんなくだらないブログですけど、何卒よろしく、お願いいたします。フドウさんのレポートやそば情報も大いに参考にさせていただきたいと思っております。
投稿: ヤボオ | 2006年1月 1日 (日) 18時05分