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2005年11月 6日 (日)

劇団四季強化月間

「異国の丘」のあと、実は4本も四季の舞台を観ている。初見の作品はないので、まとめて感想をメモしておく。

 

「マンマ・ミーア!」

早水小夜子ドナ×吉沢梨絵ソフィ×鈴木涼太スカイ。

早水ドナはこの2カ月ほどで相当良くなった気がする。最初の青い衣装はまだちょっと違和感があるが、それ意外の服装は「決まっている」感じだ。歌も、情感があふれていて心に響く。保坂ドナと双璧、と言われる日も近いのではないか。

吉沢ソフィ、実は初見。かねてよりソフィは吉沢がいちばん、という評価も聞いていたが、なるほど納得。やはりコメディエンヌとしての才能は確かだ。だが一方で、ソフィがこんなに風格があるのもどうなのかな、とも感じた。個人的には、ソフィには透明感のあるイメージが強い。このあたりは観る側の好みの問題だろう。樋口麻美ソフィ、木村花代ソフィ、五十嵐可絵ソフィ、そして吉沢梨絵ソフィ。4人それぞれカラーが違っていて楽しい。だから無理に全員に横はねヘアーを強要するのはやめれ。

涼太スカイ、いいですねえ。いかにも証券会社を辞めて島に流れてきた雰囲気だ。阿久津陽一郎スカイも観たことがあるが、どうも本島で悪さをして、島に身を隠している雰囲気だった。

ロビーの写真に、吉沢ソフィ、八田亜哉香アリ、五十嵐可絵リサという組み合わせがあった。考えてみれば、ちょっとした贅沢なキャストだ。と思ったら自分の観た次の週から可絵ちゃんリサ復活。八田さんのバベットも観に行きたいぞ!

 

「アイーダ」

井上智恵アイーダ×シルビア・グラブ アムネリス×阿久津陽一郎ラダメス。

うーむ、 井上アイーダいいじゃないか!前回観たときはヘンなメイクばかりに気をとられていたが、今回はその稟とした立ち居振る舞いと、自信に満ちあふれた歌声が実に印象的で、非常に魅力的なアイーダだった。こりゃラダメス将軍も惚れるわい。

前回観たときは、まだ井上に迷いがあったのかもしれない。成り上がり者の「エビータ」とは正反対の、生まれながらの王女をどう演じればいいのか。しかし、今回は何かふっきれた感じだった。たとえ正解ではなくても、とりあえず力一杯演じよう、という姿勢が前面に出ていた。「もっと歌に強弱をつけたほうが…」という意見もあるだろうが、そのひたむきさこそ井上智恵の最大の持ち味である。女優の魅力を引き出すことが、結果的にキャラクターの魅力を増すことになるのだと再認識した。

シルビア・グラブは相変わらず素晴らしい。ファンティーヌ姿を見に「レ・ミゼラブル」遠征も考えなくては。

この2人が良かったおかげで、阿久津陽一郎も良くなったように思えた。おそらく3人のバランスが良いのだろう。

まとまりと迫力のある、いい公演だった。他のディズニー作品に比べ地味で、ニューヨークでも苦戦している作品だが、このレベルを保てれば日本で今後も再演を続けられるのではないか。

この日メレブを演じていたのは有賀光一。腹に一物ありそうな中嶋徹に比べて、情けなさ炸裂の雰囲気がグッド。きっとあのあと、霊界空港で何年もボランティア活動を強いられているに違いない。

 

「ライオンキング」

待望の名古屋弁バージョン。野中万寿夫スカーのおまけつき。

野中スカーはいい。最初に下村スカーを観たとき、これは決定版だな、と思ったのだが、そのあと野中スカーを観て、本来のスカーはこういうキャラクターなのかもしれないな、と感じた記憶がある。もちろん下村スカーも大好きだが。

さて名古屋弁だが、容赦なく名古屋弁だった。

「りゃーおんじゃにゃーきゃ」「しんぴゃーにゃーて!」

何を言っているか分からない。

日本で、日本人が、日本語で演じている芝居なのに、セリフが理解できない。新鮮な感覚だった。

 

「オペラ座の怪人」

数年ぶりの村俊英ファントム。あれ? 村ファントムを観るのは何年ぶりだろう。おそらく、98年の名古屋公演以来だ。村ファントムは確かに見た目は中年の「おやじファントム」だけれど、内面からは強烈な男らしさを感じさせる、硬派な「おとこファントム」でもある。高井治のファントムが、中性的な妖しさを漂わせるのと対称的だ。山口祐一郎のファントムが少年ジャンプなら、今井清隆のファントムは少年マガジン。高井治のファントムは少年サンデーで、村俊英のファントムはもちろん少年チャンピオンだ。

最近、クリスティーヌ役が新たに二人誕生した。高木美果と苫田亜沙子である。この日、苫田クリスを初めて見た。この人の歌声は、個人的にクリスティーヌにぴったりのように思える。うっとりするほどの美声だ。まだ表現力という点では見劣りするのも否めないが、今後が楽しみ。ビジュアル的には、2ちゃんねるで「ちちクリス」と言われているように、肉感的なクリスティーヌである。

北澤裕輔ラウルも初見。雰囲気としてはばっちりなのでは。演技があまりに平板だとは思うが、まあラウル役だから雰囲気重視でいいのではないか。

しばらく、ラウル×クリスティーヌはフレッシュな組み合わせでお願いしたい。もちろん、新ファントムの登場にも期待している。

ところで、自分はこの作品のカルロッタというキャラクターが大好きだ。「プリマドンナ」のシーンは思わず一緒に歌いたくなってしまう。2幕で、なぜピアンジは殺されたのに、カルロッタは殺されなかったか。それは、カルロッタは怪人の指示どおり「演技をまじめに」やっていたからだと考えている。「せめてやせてくれなくては…」という注文を守れなかったピアンジは悲惨なことに。…明日からダイエットしよう。

 

「役者ではなく、作品を観ろ」と怒られそうな感想ばかりになってしまった。しかし、俳優の個性が感じられない舞台など、観ても面白くはないだろう。劇場リピーターが求めているものと、東京ディズニーリゾートのリピーターが求めているものは、根本的に違うということに気付いてほしいものだ。

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コメント

演目違いですが、今異国の花蓮にキャスティングされている岡本さんって元ミニ○○ポリスの岡本さんと同姓同名なんですが、これって同一人なのかどうか?ご存知ですか?ヤボオさんならもしやなにかご存知ではないかと。

投稿: フドウ | 2005年11月20日 (日) 04時35分

「夢から醒めた夢」のアンサンブルで名前を見て、あー10代目の鑑識班にこんな名前の子いたな、と思ったんですがちゃんと調べてなかったんですよ。
で、いま調べたら、どうも本人らしいですね。異国の別冊プログラムのプロフィール見ると宝塚音楽学校出身、てありますし、ミニスカの岡本結花もそのキャリアでしたから。
しかし、宝塚音楽学校→ミニスカ署→四季劇場秋、って、なかなかナイスな展開ですね。応援に行かねば!

投稿: ヤボオ | 2005年11月20日 (日) 06時13分

やはりそうでしたか!
前回夢醒めで最初、後半の北井さんの枠にいた記憶があります。
しかしポリス時代のお顔の記憶がいまいち不鮮明なのでスルーしていました。
このところなかなかの抜擢が続いているようなので私もチェックしていこうと思ってます。

投稿: フドウ | 2005年11月20日 (日) 13時59分

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私の一押しミュージカル「オペラ座の怪人」初めて観た時の感動は今でも忘れない。頭の真上に上っていくシャンデリア、音と光の幻想的な舞台、そして悲しく切ないストーリー。 東京で劇団四季を観たのは初めてだったのだが、会場に入ってまず感動したのは生オケだということだ。オーケストラだ!!チューニングだーーーーー!!そうか東京だと生なのか・・・感動{/face_naki/} で、客電が消えて始まったのだが・... [続きを読む]

受信: 2005年11月11日 (金) 11時00分

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