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2005年10月 2日 (日)

晩ごはん

メインダイニング「ファヌアン」で。本格的フランス料理のレストランで、味は素晴らしいが値段も高い。しかし去年ホテル内のレストランで本当にうまいと感じたのはここだけだった。覚悟を決めて入る。

照明をぐんと落としている静かな店内。携帯カメラでは光量が足りないしシャッター音が気になる。デジカメを持っていったが、フラッシュをたくのもはばかられるので、写真が暗いのは勘弁を。

今回注文したのは、沖縄の食材を積極的に取り入れた11500円のコース。ほかに7000円ぐらい、9000円ぐらい、13000円ぐらいのコースがある。以下、コース内容を紹介する。

「食前の愉しみ」

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サンマを軽くオイルにつけた先付けだ。

「県産アグー豚とフォアグラのテリーヌ・今帰仁産アガリクス茸入り 県産野菜のピクルス添え」

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近年注目のアガリクス茸は、県内のいくつかの島で豊富に採れるらしい。しかしそれを積極的に流通させよう、という姿勢が沖縄の人達にはあまりないらしい。ゴーヤなどは、県別の消費量で見るともう圧倒的に沖縄県がトップなのだが、沖縄以外に流通しているゴーヤは、多くが沖縄以外で生産されたものだという話も聞いた。それが沖縄らしいといえば沖縄らしいが、県の関係者からするとはがゆいところだろう。

「烏骨鶏のコンソメ ロワイヤル風 モロヘイヤ入り」

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ふたを開けた瞬間、鮮烈な香りがする。一口含んで驚いた。こんなに濃厚な味のコンソメは、生まれて初めてだ。「美味しんぼ」に、中華料理の「究極のスープ」として「仏跳牆」が登場するが、お坊さんもこのにおいがすると塀を飛び越えて食べにくるというそのスープは、きっとこんなメニューなのじゃないだろうか。

さらに底のほうには、プリン状に仕立てられたモロヘイヤが隠れていた。この食感が、スープをひとつの料理として完結させている。

「スズキのポワレ ヴィネガー風味 セルリアック添え」

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フランス料理のポピュラーなメニューを、何の小細工もなしにストレートで出してくるということは、よほど自信があるということだろう。

果たせるかな、至高のうまさである。スズキの淡泊な味わいを、ここまで前に引き出すことができるとは。

「ドラゴンフルーツのシャーベット」

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口直し。いかにも沖縄らしい果物のキャスティングだ。

「県産和牛ロースのポワレ 温野菜添え ロックフォールソース」

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沖縄サミットのときも各国首脳が県産和牛のうまさに感嘆したと聞くが、納得のうまさだ。味付けはシンプルではないが、肉のうまさを決して損なわず、最大限に引き立てている。ソースがついているが、こんなにうまい肉はソースなんかつけないほうがいい、とあらかたそのまま食べてから、ちょっとソースもつけてみるか、と試してみた。これもうまいではないか。フランス料理というとソースで素材のうまさをぶちこわすという悪いイメージもあるが、本当のフランス料理は、そんなことはないのだろう。素材を生かすのが基本、というのは日本料理もフランス料理も同じ。その手法が異なるだけなのである。

「黒糖とピスタチオのムース ハチミツアイスクリーム添え」

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デザート。このムースはやけにでかいじゃないか、と不思議に思ったが、なんとその中にピスタチオのアイスクリームが入っている。いったいどうやって作ったのだ?デザートでアイスクリームやシャーベットが出てくると、食べているうちにどんどん溶けてしまうのが難点だが、これならその心配もない。

今年も、やはりファヌアンはうまかった。ただ、気になったのはスタッフのサービスレベルだ。決して手を抜いているわけではないし、彼ら、彼女らにとっては、ホテル内のほかの施設と同じようにサービスしているに過ぎないのだろうが、そこに問題がある。これだけの料理となると、やはりレストランならではの給仕の呼吸が必要になってくるからだ。ブセナらしいオープンなムードと、料理にふさわしいサービスをどう両立させていくかは難しいところだが、このリゾートホテルがさらに発展していくためには避けられない課題だろう。

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