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2005年9月11日 (日)

トレイ・パーカー&マット・ストーン「チーム☆アメリカ ワールドポリス」

大人のアニメーションとして人気の「サウスパーク」シリーズは、日本でもWOWOWで放送され人気を呼んでいる。制作をリードしているのはトレイ・パーカーとマット・ストーンというクリエーターだ。この2人の手によって作られた人形劇映画が「チーム☆アメリカ ワールドポリス」である。7月末からシネ・アミューズで公開されていたが、そろそろレイトショーのみの上映になるので慌てて観に行ってきた。

シネ・アミューズに来たのは96年の「アトランタ・ブギ」以来。山本政志監督のこの作品は、古田新太やベン・ジョンソンが出演し、大企業の資本力をバックにつけた一丁目チームと、不法滞在の外国人労働者を中心にした三丁目チームが、町内運動会で死闘を繰り広げるというとんでもない馬鹿映画だ。その大馬鹿ぶりにいたく感動した記憶がある。そして今回も、それと同じ、あるいはそれ以上ともいえる感動を手にすることができた。

チーム☆アメリカは、「サンダーバード」でおなじみの特撮人形劇である。暗躍するテロリスト退治のために、アメリカに本部を置く国際警察(自称)が世界各地に出動し大活躍をする、という設定は、もちろんポスト冷戦時代のアメリカをおちょくったものだ。そして、この映画自体が80年代以降大量に生産されている、いわゆる「ハリウッド超大作」、つまり冗談のような資本を投入し、内容よりも見た目の派手さで勝負する映画のパロディーになっている。どちらかというと力点が置かれているのは後者のほうで、ジェリー・ブラッカイマーやローランド・エメリッヒなどのスタッフ、政治に口を出す俳優達、そして彼らが生み出したクソ映画が次々とおちょくられることになる。

そのおちょくり方は徹底的で、まるで容赦がない。だからこうした大作映画を真面目に愛している人は不快に感じるかもしれない。だが、多くの「ハリウッド超大作」ファンは、その馬鹿馬鹿しさを楽しみにしている。もちろん自分もその1人だ。そういう人にとって、この映画は最高に楽しい作品と言える。逆に、最初から超大作に一切目を向けず、通好みの単館上映作品ばかり観ている人には、おちょくられている内容が理解できないだろうから、あまりお勧めできない。

米国で「パロディー映画」がジャンルとして確立しているということは、「おちょくる文化」があるということだ。そこで鍛え上げられた技術が、この作品や、「華氏911」といった傑作を生んでいる。日本はどうだろう。「国民新党」の悲惨な4コママンガを引き合いに出すまでもなく、日本ではあまりその文化が育っていない。もっとも、2ちゃんねるを見ていると日々ブラックな笑いの攻撃が展開されており、日本人にその技術の素養がないわけではなさそうだ。かつては「滑稽新聞」の宮武外骨(1867~1955)のような優れたパロディー作家もいた。ということは、それらがあくまでアンダーグラウンドなものと理解されているために、表に出てきていないだけなのかもしれない。

ところで、この映画はハリウッドだけでなく、俳優つながりでブロードウエーもヤリ玉にあげている。主人公ゲイリーが出演していたエイズ・ミュージカル「LEASE(リース)」は言うまでもなく「RENT(レント)」である。また、とんでもないところで出てくる「キャッツ」の話題。「マキャビティ」とか「ランペルティーザ」といった猫の名前を出すあたり、相当マニアックである。マニアックといえば、「ミストフェリーズ」だけは、「ミスター・ミストフェリーズ」と言っていたように聞こえた。

映画についての攻撃も、いずれも観ていなければ分からないポイントを突いている。この作品のクリエーターが、いかにおちょくる相手をよく研究しているか、ということがよく分かる。それは、もはやひとつの愛の形と言えるかもしれない。

nec_0012.jpg

音楽も出色の出来。サントラCDを迷わず購入した。

「チーム☆アメリカ ワールドポリス」公式サイト

http://www.teamamerica.jp/

(追記)

映画を見ながら、ところどころでハル・ニーダム監督による世紀の珍作「メガフォース」を何となく思い出していた。あとで調べたら、マット・ストーンはこの作品を「生涯のベストワン」というほど評価しているのだそうだ。改めて自分の目の確かさに感動した。

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