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2005年8月22日 (月)

四季「マンマ・ミーア!」

当然のように、これも観てきた。

この作品は、観るたびにその完成度の高さに気付かされる。最初はばくぜんと面白かった。2回目に観て、脚本の構造的な緻密さ、一流の建築家が手がけた図面のような美しさに驚嘆した。3回目にはABBAの曲の魅力をストレートに作品の感動に結びつけるために随所に織り込まれた演出的な工夫に感心した。これは、この作品以降雨後のタケノコのように乱立し、ことごとく失敗に終わったカタログ・ミュージカルに触れて気付いたのだ。

MAMMA MIA!の初演は99年だが、21世紀最初のメガヒット・ミュージカルと言って差し支えないだろう。そう呼ぶにふさわしい傑作である。

今回の公演は、母親のドナ、娘のソフィともに初見のキャスト。ドナにはすっかり「マコのお母さん」のイメージがついてしまった早水小夜子、ソフィには2001年オーディション合格の五十嵐可絵だ。

早水ドナだが、やや無理があったか。体型のことはいい。ロンドンではもっとすごいドナを観た。問題はその歌い方である。早水は芸大卒の一流声楽家だから、もちろん歌はうまい。しかし、そのオペラのような発声法は、ABBAの曲にはとんと馴染まないのである。

優しそうな素敵なドナではあるけれど、どうも違和感がある。何か紅白歌合戦の余興でオペラ歌手が無理にポップスを歌わされているような、そんな印象だった。

五十嵐可絵はフレッシュさを全面に出した透明感がソフィ役にはうってつけだ。こういう演技には、自分はとっても弱い。歌に個性が感じられない、という意見もあるかもしれないが、素直さの表現ということにしておこう。やはり甘くなっている。

この日の「ザ・ダイナモス」、つまりかつてドナと一緒にステージに立って歌っていた2人、ターニャとロージィは前田美波里と青山弥生。恐らくこの2人は、世界最高の破壊力を持つダイナモスだと思う。ダイナモどころか、その発電量は原発クラスである。使い方を間違えれば核弾頭にもなる。日本屈指のミュージカル・スターでありながら、四季の脇役を演じ続けてくれている前田には本当に感謝だ。一方の青山は四季きっての芸達者。すさまじいほどの身長差の凸凹コンビが繰り出すギャグの電撃は、お笑いの本場・大阪にあっても観客をシビれさせている。

それに比べて、男優陣のふがいなさは何とかならないものか。確かにこの作品に出てくる男達はカッコ悪い役どころである。しかし、だからこそ弱い役者が演じれば、作品のバランスが崩れてしまう。脚本が緻密に計算されたものであるだけに、バランスが崩れやすいのだ。実力ある役者が、あえてどうにもさまにならない父親(?)を演じることで、暴走気味のドナ&ザ・ダイナモスを受け止めることができる。

この原稿を書いている時点で、ソフィに吉沢梨絵が復帰したようだ。それはもちろん観たいけれど、変えるべきキャストはそこではないだろう。

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買わなくてもいい、と思っていたが、ついふらふらとパンフレットを購入。キャスト紹介がカラーになっていたりと、なかなかの出来映え。おまけに劇中に登場する「ドナ&ザ・ダイナモス」の公演ポスターがおまけについてくる。こういうところのファンサービスは行き届いているのだから、つまらないことでファンとの間にいさかいを起こしてしまうのは本当に残念だ。

マンマ・ミーアのホームページ

http://www.shiki.gr.jp/applause/mammamia/index.html

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