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2005年6月13日 (月)

角川グループ60周年記念「戦国自衛隊1549」(ばれます)

原作のある映画やドラマを観るときには、全く別のものとしてとらえるようにしている。メディアが違えば、中身も違うのは当たり前だ。

だか続編やリメイクとなれば話が違ってくる。それらは前作と比較されることを前提に作られるわけだから、それを意識しないで観るのはかえって制作者に失礼だ。

というわけで「戦国自衛隊1549」。言うまでもなく1979年の「戦国自衛隊」の続編だ。旧作は日本の戦後SFの大家、半村良の同名小説を原作にしているが、今回はその半村版戦国自衛隊へのトリビュートとして「終戦のローレライ」「亡国のイージス」の福井晴俊が書き下ろした小説に基づいている。

1979年、当時小学生だった自分は兄らと一緒に劇場で「戦国自衛隊」を鑑賞した。その時の衝撃は今でも明確に思い出すことができる。派手な戦闘シーン、無意味なゲスト、とてつもなくいやらしいクーデターの場面、残酷な描写、印象的な挿入歌、悲しい結末と、何もかもが鮮烈だった。

それが25年ぶりに帰ってくるのだ。期待しすぎは良くない、と思いつつ、期待せずにはいられないというものだ。

だが、その出来映えはやや残念なものだった。

何が悪いというわけではない。脚本もシンプルながらうまくまとまっていたし、「ゴジラ」で釈由美子を起用し大いに面白い作品を撮ってくれた手塚昌明監督も、奇をてらうことなく堂々とした正攻法の演出を見せてくれた。俳優陣はみなすばらしく、江口洋介、鈴木京香、鹿賀丈史に伊武雅刀、生瀬勝久に嶋大輔に的場浩司、それぞれ持ち味を十二分に発揮していた。戦闘シーンやCGもそれなりによく出来ていた。途中でだれることもなく、いいテンポで最後まで一気に見せてくれたので眠気は全く感じなかった。

にもかかわらず、見終わった後の手応えが今ひとつなのである。何かこう、よくできたVシネマを観た、というぐらいの軽い印象しかない。

旧作の魅力は何といっても、大勢の武者たちに戦車やヘリコプターが立ち向かっていくという、ある意味滑稽な構図だった。滑稽ではあったが、エキストラの数が半端ではなく、妙に迫力があった。そしてその合戦シーンを、実に40分以上にもわたり見せられているうちに、すっかりその世界に引き込まれてしまった。新作にももちろん鎧武者対近代兵器の構図はあるものの、どうにも迫力不足だった。

前回は自衛隊の協力を得られず、戦車は自前で作り(その後「ぼくらの七日間戦争」でも使用された)、ヘリコプターは原作のバートルからシコルスキーに変更になった。その点、今回は陸上自衛隊の全面協力で、戦車や装甲車はもちろん、戦闘ヘリであるコブラまで本物が登場している。なのに、迫力不足なのはどうしてか。

そこに、「面白さ」というものの本質が隠されているような気がする。面白さというのは「面白くしよう」という工夫であり、心意気なのだ。本物を持ってきたから迫力が増す、というものではないのである。

今回のスタッフが、その工夫を怠っていたとは思えない。原作の福井は、「かつての角川映画が持っていた、わくわくするお祭りのような雰囲気を取り戻したい」と語っている。意気込みはあったのだ。手塚監督も、ゴジラ作品の演出においてゴジラという素材に頼り過ぎることなくカタルシスにあふれるシーンを創り上げてきた。それだけの手腕のある人だ。

あえて犯人捜しをするならば、これはプロデューサー、というか制作サイドの問題だろう。つまり予算をどこに使うか、ということを考えている人達だ。旧作のころには今やあっちの世界の人になってしまった(最近復活に向けて始動しているが)角川春樹が絶頂期だった。いろいろ問題はあったろうが、少なくともあのころの角川春樹は、どう金を使えば面白くなるのか、ということを知っていたように思う。ばかばかしいほどの大人数のエキストラを一度に出したり、戦車や潜水館を自前で調達してしまうといった奇抜な行動は、荒唐無稽とはいえ着実に映画に映画の中に面白さを吹き込んでいた。

日本映画に今決定的に欠けている人材。それは監督でも脚本家でもなく、プロデューサーなのかもしれない。

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戦国自衛隊1549のホームページ

http://www.sengoku1549.com/

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今ひとつ。もうひとつ。つめがあまい。面白いことは面白い。それはネタが面白いだけで [続きを読む]

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