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2005年5月 5日 (木)

STARLIGHT EXPRESS UKツアー版

STARLIGHT EXPRESS UKツアー版

さて、今回の旅のきっかけ、スターライト・エクスプレスである。

テーマも哲学も何もなく、ただ客を楽しませるためだけのミュージカル。ご存じのように俳優は全員ローラースケート装備で各国の列車に扮し、ハイスピードで移動しながら歌い踊る。

曲のほとんどはポップで楽しいものばかりで、女の子のナンバーはアイドル歌謡のようなかわいらしいものだ。

中身がないとはいえ、キャラクターは魅力的である。ステレオタイプのアメリカン起動車・グリスボーや、ヒロインである高級客車のパールを押し退けて強烈な印象を残す食堂車・ダイナーなど、それぞれにサイドストーリーが書けそうなほどだ。日本代表、シンカンセン弾丸列車・ニンテンドー(名前)も健在。日本公演では新幹線ハシモトとか名乗っていたような。代々木では川崎麻世、横浜では渋谷哲平が演じていたがサンデーズ枠なのか?

ウエストエンドでロングランをしていた時は、客席を取り囲むようにサーキットを作り、本編中三回あるレースのシーンではそこで実際にレースを繰り広げていた。今回、その部分を立体映像の上映に切り替えることでツアー公演を可能にしている。

その立体映像だが、ほぼ予想どおりのレベルで、やや苦しい出来だった。一生懸作ろうとしている意気込みは十分に感じられるものの、チープ感が漂う。ツアー公演の予算を割いて作るには自ずから限界があるだろう。また、偏光眼鏡を使った映像はどうしても暗くなるということを計算に入れていなかったのだろうか?だいぶ見えにくかった。

レースのシーンは三回だけなので、それが痛くても作品全体に与えるダメージは小さいのでは、と思っていたが、以外にその穴は大きく感じた。やはり仕掛けの面白さで見せる作品だから、企画面のダウングレードは極力避けなくてはいけないということか。

制作サイドもそれを十分に理解していたからこそ、立体映像という挑戦をしたのだろう。レースのシーンになると観客がいっせいにごそごそと眼鏡をかける面白さもあるし、立体映像以外の部分でもスクリーンを使った小粋な演出があったのは良かった。特にダイナーの歌う“u-n-c-u-p-p-l-e-d”は新たな演出により切なさが倍増していた。この愛すべき超馬鹿ミュージカルのまだ失われていない商業的価値を引き出そうという姿勢は評価したい。

だが自分の観た日は客の入りも悪く、ツアー全体が大成功しているわけでもなさそうだ。ひょっとしてこの形態なら日本での普通の劇場公演も実現するかも、と期待していたがこれでは望み薄だ。

ロンドン演劇界には、ぜひこの作品を見捨てず、立体映像以外の仕掛けも含めて手をかけていってほしいと願う。今回ほんの少し宙吊りの演出が使われているが、それをうまく使えば映像に頼らず上演できるのではないか。

まあ映像を作り直すにしても新たな趣向をこらすにしても、膨大な金がかかるのは確かだ。ひとつディズニーにでも上演権を買い取ってもらってはどうか。それで舞浜にできる新劇場でロングラン。どうですか?オリエンタルランドさん。

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