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2005年1月16日 (日)

「民明書房大全」

体の具合がすぐれないと、いつもより余計に鬱になる。こういうときこそ外で元気に遊ぶべきだが、あいにくの天気だ。仕方がないので家でおとなしく本でも読むことにする。

久しぶりに学術書に目を通すことにした。選んだのはこの1冊

200501152356000

「民明書房大全」。

民明書房は、中国に古代から伝わる武術の研究書を中心に、専門的な学術書を多数発行している出版社だ。1926年設立と歴史は深く、今年その創業社長である大河内民明丸氏が百歳を迎えたことを記念してこの本が上梓されたという。

漫画家の宮下あきら氏がその作品「魁!男塾」の中で、同社の書籍から多数の引用をしたことで民明書房はその名を知られるようになった。この本は、そのように引用された文献を、宮下氏の添えた挿絵とともにまとめたものである。

自分も宮下氏の漫画にはすべて目を通しており、この本に掲載された内容はどれも一度は読んでいる。改めて振り返ってみて、初めてその知識に触れたときの驚きや感動がよみがえってきた。

様々な拳法や武器、闘技形式などの紹介も非常に興味深いが、やはりもっとも驚かされるのは、それらの名残が現代にも伝わっていることだろう。

1950年代末に日本で大流行した「ホッピング」の名称が、バネと体重による反発力を応用した武器「鉄騎宙弾」の発明者・宝 浜具(ほう びんぐ)に由来していることや、スポーツのスカッシュが、明代に考案された室内戦用の武器「趨滑襲(すうかっしゅう)」を原型としたものであることなど、宮下氏の引用によって初めて知った。当時自分は大学生だったが、よくこれらについて狭いアパートで学友たちと語り合ったものだ。

先日、中国の人口が13億人に達したというニュースが流れた。今や世界の5人に1人は中国人であり、今後各国における中国の経済的、文化的な影響力が増していくことは確実だ。そうした中で、このように中国のあまり知られていない歴史を詳しく解説した数々の書籍に親しむことは非常に意義深いことだといえる。

なお民明書房や、その関連会社「曙蓬莱新聞社」「ミュンヒハウゼン出版」などの出版物は、学術書ということもあり「世界の怪拳・奇拳」「医学的見地より考察した中国拳法」「世界史にみる現代兵器の源泉」など、固いタイトルが多いが、中には「泳げ!騎馬民族」「バットマンかく語りき」「撃って候 早くてゴメン」など、ファンキーなタイトルのものも見受けられる。ぜひ引用されている部分以外も読みたいと思うのだが、残念ながらアマゾンでは取り扱いがないようだ。

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