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2004年7月25日 (日)

四季「スルース【探偵】」(ばれ?)

前の記事からの続き

三谷幸喜はこう言っている。

「コメディの魅力というのは、緻密に計算された構成の面白さだと思います。その意味では、コメディーとミステリーは共通しているかもしれません」(DVD「マトリョーシカ」のインタビューより)

三谷作、松本幸四郎主演、市川染五郎共演で話題になったミステリー「マトリョーシカ」。そのベースとなったのがこの作品「スルース」である。パロディーというわけでもパクリというわけでもなく、言ってみれば「本歌取り」といったところか。2つの作品に共通しているのは、2人の男の丁々発止で展開すること、悲劇と喜劇が交錯していること、そして緻密に計算された構成を楽しむ作品であることだ。

もちろん、「スルース」は、1970年の作品だから、テンポの良さは「マトリョーシカ」のほうが断然上を行くわけだが、こちらもなかなか捨てたものではない。そして2人の思惑が複雑に絡み合う中で、中年の悲哀とあせり、階級意識といったものが少しずつにじみ出てきて、またそれが観客の判断を鈍らせる。見応えは十分だ。

もっとも構成の妙を楽しませる、ということでいえば、マトリョーシカに軍配が上がる。より複雑でありながら、それを分かりやすく観客の頭の中で整理できるよう工夫されている。

しかし、客を騙す、ということにかけてはスルースの方が上か。何しろ舞台の枠組みを越えたところにまで罠が仕掛けられている。

サスペンスだから内容についてはあまり触れないが、「スルース」にしても「マトリョーシカ」にしても、こんな感じに、常に「どっちの勝ちだろう」と客を悩ませる作品だと思っていただければいい。

2作品の共通点が、もうひとつあった。

「スルース」も「マトリョーシカ」も、実はパロディーになっているという点だ。前者は、ミステリー小説の手法に対して。後者は、舞台演劇の手法に対して。

三谷の頭の中では、「スルース」と「マトリョーシカ」が丁々発止のやりとりが繰り広げられていたに違いない。そして、「スルース」の中の2人同様、その行動に奇妙な共通点を見いだしていったのではないだろうか。

となると、この2作品を比べて楽しむこと自体、三谷の仕掛けた壮大な罠ということになる。やはりこの勝負、三谷に・・・いや待てよ・・・

tantei

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