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2004年7月20日 (火)

大友克洋「スチームボーイ」(いきなりばれ)

楽しい映画だ。後半はほとんど闘いっぱなし。やっぱりアニメーション制作がサンライズだからだろうか?

冒険活劇、というふれこみだったが、ちょっと印象は違った。どちらかというとドタバタ活劇、おしゃれに言うならスラップスティック・コメディーに近い。

何しろクライマックスでは、万博会場でアメリカとイギリスが大々的に戦争を始めるのである。筒井康隆の初期短編に「深夜の万国博覧会」というのがあった。夜になると、万博会場は各国のスパイやテロリストの戦場になるという話だった(かな?)が、この映画もそんな雰囲気である。この設定自体、かなりコメディーだ。

続々登場する蒸気機関を発展させた兵器の数々も、宮崎駿のそれのように芸術的でもなく、「サクラ大戦」のそれのようにメカニックでもなく、どこか滑稽である。

そして登場人物も、善玉、悪玉がはっきりしておらず、憎めないキャラクターばかり。ストーリーの軸は、主人公、主人公の父、主人公の祖父という発明一家が、科学に対する姿勢の違いから対立を深めていくという人間ドラマなのだが、あまり深刻な骨肉の争いというわけでもない。表面上は争っていても、変人の科学好きという点で妙な連帯感があるせいか、どこか真剣味がなく、結局ホノボノとした家族の情景になっている。

しかし、あと半歩、というところでコメディーにはなっていない。この寸止め感が、何ともいえないフシギな味わいをこの作品にもたらしている。

妙な後味の作品だが、冒頭に述べたようにとりあえずは楽しいので、まあお勧め。責任は取りませんが。

ひとつ感心したのは、声の出演者。鈴木杏に小西真奈美など、声優ではなく俳優がキャスティングされている。スタジオジブリの作品も声優より俳優を起用する傾向にあるが、ジブリの場合「俺らのはそこいらのアニメなんかとは格が違うんだよ~」と言いたいのが見え見えで、ハナにつく。実際、作品を観ると必ず声に違和感がある。

ところがこの作品では、声と映像がぴったりと合っている。鈴木杏の演技力がすばらしいことは、昨年シアターコクーンで「奇跡の人」を観てよく知っているが、これはやはり大友や、音響監督の百瀬慶一の仕事をほめるべきだろう。特に、中村嘉津雄の演技がぐっとくる。最初に聞いてすぐ中村だと分かったが、映像と馴染んでいて、違和感が全くなかった。この人が声優、というのは記憶にない。よく起用を思いついたものである。

秋に公開が延びた「ハウルの動く城」では、木村拓哉が主人公を演じることが話題になっている。鈴木敏夫プロデューサーはサイゾー誌のインタビューに応え「やりたいというオファーがあったから起用した。こんなに人気がある人だとは思わなかった」とうそぶいている。それがどう出るか、と興味を持つこと自体、鈴木の術にはまってしまっているのが癪にさわるが、でもやっぱり興味深い。

sb

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