四季「マンマ・ミーア!」(ばればればれ)
「マンマ・ミーア!」は、世代間闘争を描いたたコメディだ。
通常、世代をテーマにしていれば、保守的な中高年連中と革新的な青年諸君というのがお決まりの対立軸だ。しかしこの作品では逆に、お気楽で脳天気な大人と、現実的で手堅い若者という構図になっている。ある意味新鮮だが、確かに最近はこちらのほうがよほどリアリティーがある。
そして、その2つのグループが次第に接近し、やがて立場が逆転する。中高年たちはありきたりの人間関係へと納まっていき、青年たちは冒険の未来へ乗り出していく。
その交差するポイントが、主人公・ドナ(母)がソフィ(娘)の髪を梳り、ウェディングドレスを着せるシーンである。「Slipping Through My Fingers」に乗せて進むこの場面は、静かだが暖かい感動に満ちている。それがただの「いいシーン」で終わっているのではなく、全体の構成の特異点になっているあたり、この作品が実に緻密に計算されたミュージカルであることを改めて認識させられる。
もちろん計算といえば、全てABBAの曲をそのまま使いながら、オリジナルで作った物語の中にぴったりとはまっていることにまず驚かされるわけだが、そこで終わっていればただのカタログ・ミュージカルであって、ここまでのヒット作にはなり得なかったろう。
そしてその計算された構成こそが、この作品を上質のコメディに仕立てているのである。
三谷幸喜はこう言っている。
「コメディの魅力というのは、緻密に計算された構成の面白さだと思います。その意味では、コメディーとミステリーは共通しているかもしれません」(DVD「マトリョーシカ」のインタビューより)
【追記】
覇王柴さんがとってもイイ席でご覧になったようです。こちらもどうぞ。
http://blog.drecom.jp/haoushiva-profile/archive/381
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コメント
TB&コメント&記事紹介までありがとうございましたv
最後のカーテンコール、そういえば英語曲あったような…?
でも何の曲だったのか、思い出せません。
カーテンコールはパパ’Sの強烈な衣装に
全ての記憶をさらわれました(笑)
次回、大阪で公演なんですよね、アイーダとはしごして
見に行くっていう妄想に取り付かれそうです。
投稿: 覇王柴 | 2004年9月28日 (火) 10時26分
あのパパs衣装は、この舞台の最大の見所でしょう。
ところで「海」で次に何を上演するのかも気になるところです。
ファントムというウワサも…
投稿: ヤボオ | 2004年9月29日 (水) 01時33分
「海」次回公演、噂通りに「オペラ座の怪人」ですね!
やた〜〜v絶対見にいきます!
とりあえず、今週末に「ヴェニスの商人」見てきます。
投稿: 覇王柴 | 2004年10月 1日 (金) 01時09分
そうそう、そうなんですよ。
ファントムって、ときどき突発的に観たくなる舞台なので、東京でやっていただけると本当に助かります。まあそれを口実に福岡とかまで行くのも、それはそれで楽しいんですが。
キャッツとファントムをはしごしたりもできるのがとっても幸せです。四季のマーケティングにまんまとはまっているのがややくやしいですが。
それに抵抗するわけじゃないですが、今週末は「ミス・サイゴン」です。
投稿: ヤボオ | 2004年10月 2日 (土) 02時55分