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2004年6月27日 (日)

「新選組!」芹沢鴨の最期

6月27日放送「新選組誕生」で、芹沢鴨が出番を終えた。

通常、芹沢という人は新選組の話ではあまり語られないか、語られたしてもあまりいいイメージでは描かれない。それは、水戸の出である自分にとってはちょっと寂しい話である。

しかし、この「新選組!」では、全く新しい芹沢像を造り出した。悪役であることは確かだが、それなりの器量を持ちながら、自分の弱さという殻を打ち破ることができず、結局破滅へ向かわざるを得なかった悲しい男、それが今回の芹沢鴨である。

三谷幸喜の脚本も見事だったが、ここは演じた佐藤浩市をたたえよう。前から好きな俳優ではあったが、この複雑な役どころをうまく、そしてあくまで格好良く演じぬいたことで新たな評価とキャリアを得たといえるだろう。

勝手な憶測だが、芹沢役に佐藤浩市、というのは三谷サイドの意向というより、NHKサイドの意向のような気がする。大河ドラマとしてはあまり視聴率はふるわなかったが、力作だった「炎立つ」でも源義家を好演していたし、何より直感で恐縮だが「三谷っぽさ」がしないキャスティングだからである。

このドラマは近藤や土方の芹沢一派に対する、そして新選組の「時代の流れ」に対する闘いの物語である。そして同時に、これは大河ドラマという日本のテレビのもっとも保守的な部分に対し、三谷幸喜が闘いを挑んでいる試みでもある。

最初はちぐはぐな印象だった。リアリティーに欠けるじゃないか、というのは確信犯だとしても、脚本に仕込まれた笑いをうまく演出でフォローできていなかったり、俳優の「迷い」が感じられることもしばしばあった。

しかし最近はそのあたりがうまくなじんできている。三谷の息のかかった役者はもちろん、それ以外の出演者も脚本の意図を汲んでいきいきと演じるようになった。演出やカメラワークなども、決して三谷に迎合することなく、NHKらしさを守りつつもうまい連携を見せているように思う。

そして今日、最も三谷らしさの薄い俳優が退場した。入れ替わりに、来週からくせ者・武田観柳斎役で三谷の信任が厚い八嶋智人が登場する。物語の中で近藤・土方独裁体制が確立したのと同期するように、今後は三谷色がさらに強まっていく。

近藤が筆頭になるまでの新選組の話は、田舎から出てきた若者たちが、都で一旗揚げるまでの成功譚である。しかし、そこから先は粛正の嵐が吹き荒れ、維新の荒波が押し寄せる中でどう生き残っていくかというサバイバルストーリーになる。

三谷の闘いは、新選組の闘いのように、悲しい結末へと向かうのか。確実に言えるのは、ドラマの内と外で展開する二つのストーリーが、これからも自分をテレビに釘付けにさせるだろうということだ。

もっとも、それこそがこの大河ドラマに三谷が仕掛けた、大きな罠であろう。いやいや、観柳斎顔負けの策士である。来週から、観柳斎に三谷をだぶらせながら観ることにしよう。

ドラマのネタが続いた。また一歩、「同居人日和」に近づいた。

kamo

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コメント

オットからの伝言です。
「『仔犬のワルツ全編』のレビューはいつアップされるのか」とのことです。
また一歩、野島伸司に近づいた…?

投稿: たるみ | 2004年6月28日 (月) 20時50分

野島伸司に近づいても、のりピーと結婚できるわけではないので、あまり野望を抱きません。
その前に「ミニモニ。でブレーメンの音楽隊」のレビューをアップする必要があろうかと思います。再放送が始まったので、じっくり見直してから書こうと考えています。

投稿: 信長野ヤボ夫 | 2004年6月28日 (月) 23時57分

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