劇団四期は1日、海外で制作されたミュージカルを今後一切上演しないと発表した。現在ロングラン公演中、あるいはすでに上演が決まっている演目についても、順次オリジナル作品に切り替えていく。
記者会見の中で浅蜊慶大同劇団代表は「金輪際、海外から買ってきたものはやりません」と強い口調で言い切った。だがその理由について聞かれると「四期はオリジナル作品で十分食っていける。わざわざ外国に高い金を払う必要はない」と答えるのみで、明言を避けた。
一説によると、2005年に狂言師の野村萬斎氏が、日本の伝統芸能を海外に紹介している自らの活動を「逆・劇団四期」と評したことについて、浅蜊氏が「四期にオリジナル作品がないとでも言うのか」と激昂した事件があり、これが遠因となったのではないかという見方もある。
また以前からささやかれていたディズニー社とのあつれきについては「アイツらとはもともとそりが合わなかった。関係が切れてせいせいした」と言いたい放題。日本での「メアリー・ポピンズ」や「ターザン」といったディズニー新作の上演を期待していたファンには残念な事態となったが、すでに「レ・ミゼラブル」を手がけている東呆が権利の獲得に向け具体的な取り組みを開始したとも言われている。「ターザンならぜひ僕が」と四期で「ライオンキング」の主役を長年務めた坂元ケンジが早くもアピールを開始した。
現在上演中の海外製作品については、順次既存のオリジナル作品か、新作に切り替える。「ライオンキング」をロングラン中の「四期劇場・春」では、手塚治虫のマンガを原作にした新作「ジャングル大帝」を上演する。動物の衣裳やセットがそのまま使える、と話す浅蜊氏に対し、記者団から「ディズニーが認めないのでは」という質問が飛ぶと「8年も高いロイヤリティーを払ったんだ。このぐらいくれなきゃ元が取れない」と一蹴。5月に名古屋で開幕予定の「アイーダ」については、相田みつを氏の詩をミュージカル化した新作「アイーダだもの」に切り替える。もし権利などの面で交渉が難航した場合には、歌手のピーターさんを客演に迎えて歌謡ショー「夜と朝のアイーダに」を上演する予定という。
6月に開幕を予定していた注目の新作「ウィキッド」は、アントン・ウィッキーさんの半生を描く「ウィッキーと」に変更する。「作品の規模では負けないものにする。スリランカから単身日本に留学し、日本で成功を収めたウィッキーさんの姿に今の日本が失っている気高さを感じる。これも三部作にするつもり」と新たなシリーズ構想をぶちあげた。第二弾は漫才コンビ「パックンマックン」のパトリック・ハーラン氏を取り上げ、お笑いの要素を取り入れた新感覚のエンターテイメントにするという。第三弾はマーティ・フリードマン氏に打診中。親日家であるフリードマン氏は前向きに検討しているものの、ヘヴィメタルバンド「メガデス」の曲を盛り込んだカタログ・ミュージカルにすることには難色を示している模様だ。
◆主な作品の変更一覧
(矢印の前は変更前のタイトル、後は変更後のタイトル)
「ライオンキング」→「ジャングル大帝」
白いライオン「レオ」が数々の困難を乗り越えて、百獣の王として君臨するまでを描く。「最初にぱくったのはあちら」とディズニー社を名指しで批判する姿勢に、波風を立てたくない著作権者も困惑気味
「アイーダ」→「アイーダだもの」
(または「夜と朝のアイーダに」)
相田みつを氏の詩をミュージカル化するという実験的な取り組み。「詩を原作としたミュージカルとして、キャッツの上を行く上演回数を狙う」と代表は鼻息が荒い
「ウィキッド」→「ウィッキーと」
アントン・ウィッキーさんがスリランカから来日し、現在に至るまでの半生を描く。途中、役者が舞台から降りて観客に突然英語のクイズを出す場面があるため、緊迫感あふれる舞台になるという
「エビータ」→「ノビータ」
人気マンガ「ドラえもん」をのび太側の視点から描く。ヒロインのしずかちゃん役について、「劇団への貢献度やキャリアを勘案して決定したい」と野村玲子の起用をほのめかす代表に対し「情実人事ではないか」との厳しい質問が。「まあ以前しずかちゃんの声を担当していたのも同じ姓の野村道子だったし・・・」と苦しい言い訳をする代表にさらに質疑が集中すると「役者ではなく、作品を観てほしい」と憮然とした表情に
「クレイジー・フォー・ユー」→「クレイ G4 youtube」
コンピューターにおける画像処理の主役が、スーパーコンピューターからMac G4のようなPCに移り、さらにPCからネットワークへと移りつつあるというWeb2.0的な状況について解説する日本初の「テクノ・ミュージカル」らしいが真相は不明
「壁抜け男」→「四期抜け男」
劇団四期とケンカ別れし、他劇団のミュージカルに主演するようになった男が代表の考えの素晴らしさに気付き、舞い戻って永遠の忠誠を誓うというストーリー。カーテンコールはマスゲーム
「キャッツ」→「クレージーキャッツ」
「ハナ肇とクレージーキャッツ」のメンバーの苦悩と活躍を、「スーダラ節」「ホンダラ行進曲」などのヒット曲満載で描く。60年代の米ポップスグループ「フォー・シーズンズ」にスポットを当て2006年トニー賞を獲得した「ジャージーボーイズ」のような作品を目指す。「キャッツシアター」も新たに「クレージーキャッツシアター」として生まれ変わる
「オペラ座の怪人」→「オペラ座の背任」
オペラ座の諸問題を全く解決せずに権利を譲渡したムッシュ・ルフェーブルに対し、ラウル・シャヌイ子爵が契約無効の仮処分申請を求め訴えを起こす法廷ドラマ。セットは「オペラ座の怪人」のオープニング(オークション会場)をそのまま流用する
「マンマ・ミーア!」→「そのまんまミーア!」
「ライオンキング」に登場するミーア・キャットのティモンが、プライドランドの知事選に立候補し、スキャンダルに悩まされながらも当選し業務を開始するまでを描くオリジナルストーリー。ディズニー社には無断で制作中。虫の幼虫をお土産に出そうとしたところ、シンバに拒否されるシーンもあるという
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